FC2ブログ

風のつぶやき! 南摩ダム・日帰り温泉などの情報

風の吹くまま、気の向くままに!

太々神楽(5)

第十五座の”安河原道化の舞”は神が剣を造る様子を演じたもので、神と神の下僕として”ひょっとこ”の面を被った道化が登場する。
道化二人で”鍛治屋”の道具を担ぎ、舞台の中央で”刀鍛治”の様子を面白おかしく演じている。
道化役の二人はすでにある程度のお酒が入っており、酔った威勢おいで演じるその様は私達子供にとっても大変な人気であった。
神楽で道化の出てくる場面の時は見物人が舞台の周りに集まって来て声を上げて笑いこけていた。

「みっちゃん、腹へんねけ!」
「うん、腹減った。もうお昼だかんな。」
「昼、どおする。焼きそばでも買ってきてたべっけ。」
「いいよ、とっちゃん、銭もったいねえよ、俺、父ちゃんとこ行って何か貰ってくっから。」
みっちゃんはそう云いながら拝殿横の楽屋へと駆けて行った。
みっちゃんの父ちゃんは、太々神楽の中で一番勇壮で人気のある”第二十座””岩戸の舞”の荒神手力男を演じる村一番のヒーローでもあった。

”岩戸の舞”は古事記に出てくる日本神話を元に創られた演目で、天照大神がスサノウノミコトの暴状を怒り天の岩屋に篭ってしまった為、大力の神”荒神手力男”が天岩屋戸を開いて天照大神を出したと云う神話に基づく舞である。


みっちゃんが両手に何かを持ち、駆けてやってきた。
「とっちゃん、これで腹ごしらえすっぺ。」
片手には木皮にてんこもりにした”おこわ”(赤飯)、もう片方には木皮で包んだ”煮しめ”が入っていた。
「ぜえぶん貰って来たんじゃねえけぇ!」
「これで腹一杯になんな。」
私とみっちゃんは、狛犬の台座に腰掛けてそれらを平らげた。」
お昼には神楽も中断し、お祭り当番の人達が楽屋の中で舞人やお囃子の人達に食事の世話をしている。
当然お酒も入り、楽屋の外には熨斗の付いた一升瓶が何本も転がっていた。
見物人達は、持ってきた莚を敷きお握りや出店で買った焼きそばなどを食べながら世間話に花を咲かせている。
子供たちと言えば、境内に出ている出店で品定めに夢中である。
水飴を食べずに白くなるまでこねくり回している者、買ったセルロイドのお面を頭に被り、口元をべとべとにしながら杏飴を舐めている小さな子供、ブリキで出来た”カン鉄砲”をバンバンと打ち合いながら遊んでいる子供など、鎮守の杜は子供たちのざわめきに包み込まれていた。

天を突くような甲高い笛の音が鎮守の杜に響き、拝殿の上では舞が始まった。
いよいよ、みっちゃんの父ちゃんの出番、”岩戸の舞”の始まりである。
拝殿正面の格子窓には、岩戸に似せて作られた三尺、四尺程の楕円をした”張りぼて”が掛けられている。
そして、紫地の装束に襷を掛け黒の袴を穿いてシャグマの冠り物と”タヂカラオ”の怖いほど勇壮なお面を付け、手には剣を持って太鼓と笛に合わせて登場するみっちゃんの父ちゃんの勇姿には子供さえも憧れた。
拝殿の前に立ち、甲高い笛と腹の底に響くような太鼓に合わせて舞う様は勇壮であり、雄渾ともいえた。
特に格子窓に掛けられた岩戸を両手で持ち上げて力強く舞う場面は、この神楽三十六座の中でのクライマックスでもあった。

次回に続く。

スポンサーサイト



テーマ:なんでも.栃木.! - ジャンル:地域情報

  1. 2006/04/13(木) 18:36:56|
  2. 徒然
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<白木蓮と積雲 | ホーム | とちぎさくら前線>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://7n2ftc.blog1.fc2.com/tb.php/211-c71d7fa0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カレンダー

07 | 2020/08 | 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

プロフィール

may wind  (五月の風)

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のコメント

最近のトラックバック

QRコード

QRコード

フリーエリア

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する